家が建てられるエリア・建てられないエリア【市街化区域と市街化調整区域】|マイホームの基礎知識
- 安江亨介
- マイホーム基礎知識
こんにちは、匠工房です。今回は都市計画についてお話しいたします。日本では、家を建ててもよいエリアと建ててはいけないエリアに法律によって分けられています。販売されている土地すべてにお家が建てられるわけではないということですね。それでは詳しく解説していきます。
1. 都市計画とは
都市計画とは、都市計画法という法律によって定められた、「良いまちづくり」を行なうための計画のことをいいます。ルールなく、どこにでも好きなものが無秩序に建築されてしまうと工場やお店がバラバラに建てられてしまったり、街並みが乱れてしまったり、自然が壊されてしまったりしてしまいます。これを防ぐために、建築可能なエリアと建築に規制を設けたエリアに色分けを行ないました。
それでは、どのように区別されているのか、見ていきましょう。
2. 都市計画の種類
2-1.都市計画区域
都市計画法第4条1項では、”この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次章の規定に従い定められたものをいう。”と定められています。住みやすい街づくりのためのルールがたくさん設けられています。都市計画区域といっても、にぎやかな市街地を表しているわけではありません。市街地から郊外の田園地域に至るまでの地形や人の動き、都市開発の将来的な見通しまでを総合的にみて「市街化区域(街づくりを積極的に行なっていくエリア)」と「市街化調整区域(田んぼや畑を守り、街づくりは抑えるエリア)」に分け、整備します。
2-2.準都市計画区域
都市計画区域に定められていないエリアを都市計画区域外といいます。近年は高速道路や新幹線などの発達で、都市計画区域外での開発も進められています。そこで、将来的な都市開発に支障が出る恐れのある都市計画区域外エリアの一部を準都市計画区域と定め、無秩序な開発がされないよう規制を設けました。
家づくりで注目されるのは都市計画区域内の土地です。生活を営むのに便利なのは、計画的な都市開発が進められている都市計画区域内だからです。都市計画区域内でさらにエリア分けされる、市街地区域と市街化調整区域について、詳しく説明します。
3. 市街化区域とは
3-1.特徴とメリット
市街地区域とは、既に街が形成されているエリア、または今後10年以内優先的かつ計画的に市街化を図るべきエリアのことをいいます。街づくりを積極的に進めていくことが推奨されているエリアになるので、ルールに則って誰でもお家を建てることができます。市街地区域は、そのエリアの中でもさらに整った街並みにするために用途地域が定められています。住宅しか建てられないエリアや、小さなお店も建てられるエリア、大きな店舗が可能なエリアなど、細かく色分けされています。
市街化区域は街づくりが積極的に進められているエリアなので、交通や道路などの整備がしっかりされており暮らしやすいエリアです。また、上下水道やガス、電気などの整備も進んでいます。土地探しをするなら、まず市街化区域を中心に探してみてください。
3-2.デメリット
市街化区域は街づくりが進められている、住みやすいエリアであり需要の高い場所が多いため、価格も高く取引されています。市街化区域の中でも駅前など特に利便性の高いエリアは固定資産税も比較的高く、市街化区域では都市計画税という税金も納める必要があります(市街化調整区域でも一部エリアでは納める必要があるエリアもあります)。
また、法律によって最低敷地面積が小さく定められているため、希望通りの面積の土地が少ない可能性があります。
4. 市街化調整区域とは
4-1.特徴とメリット
市街化調整区域は、市街化区域とは逆に街づくりを抑制し、田畑を維持すべきエリアです。したがって、基本的にお家を建てることができないエリアです。ただし、田畑を所有している農家資格を持った方や、本家がある地域に分家としてお家を建築する方など、市町村で定められた基準をクリアした方だけが建てられるようなルールになっています。建てられる人をかなり絞ったのが市街化調整区域です。
市街化調整区域は、市街地から離れた郊外に該当することが多いため、閑静な環境で暮らしたい方にはオススメです。また、市街化区域に比べて土地の価格や固定資産税も低く住宅費を抑えることができるのもメリットですね。
4-2.デメリット
市街化調整区域は、街づくりが抑制されているエリアなので場所によっては上下水やガスの整備がされていない可能性があります。したがって整備をする場合は実費となるので土地の整備費にお金がかかかるケースがあります。
また、市街化調整区域にお家を建てるには法律に沿った申請が必要です。その申請にも費用がかかる上、許可がおりるのにも時間が必要です。土地の価格が低いからといって油断せず、ライフラインや申請にかかる時間や費用などもしっかりと確認した上で購入を検討する必要があります。
5. まとめ
・日本は整った街づくりのためにエリア分けがされています。
・希望のエリアがどの区域に該当するのか、市街化調整区域の場合はライフラインが整っていないケースが多いので、しっかりと確認しましょう!