注文住宅の土地探しは、家づくり全体の成功を左右する重要なステップです。不動産屋はプロの視点から様々な情報を提供してくれますが、残念ながら全てを教えてくれるわけではありません。ここでは、不動産屋が「あえて」言わない、土地探しの注意点と交渉術を詳しく解説します。これらの情報を知っておくことで、理想の土地をより有利な条件で見つけることができるでしょう。
注意点1:重要事項説明書を隅々までチェック!隠れたリスクを見抜く
不動産の取引において、契約前に必ず交付されるのが「重要事項説明書」です。これは、土地や建物に関する重要な情報が記載された書類であり、不動産会社が説明義務を負っています。しかし、専門用語が多く、内容が難解なため、軽く読み流してしまう人も少なくありません。重要事項説明書には、以下のような項目が含まれており、隅々までチェックすることで、隠れたリスクを見抜くことができます。
⚫︎土地の権利関係
所有権、借地権など、土地の権利の種類を確認します。借地権の場合、地主への地代が発生するなどの制約があります。
⚫︎都市計画法・建築基準法上の制限
用途地域、建ぺい率、容積率など、建築可能な建物の種類や規模に関する制限を確認します。これらの制限によって、希望する家が建てられない場合があります。
⚫︎インフラの整備状況
電気、ガス、水道、下水道などのインフラが整備されているかを確認します。未整備の場合、別途工事費用が発生する可能性があります。
⚫︎周辺環境
周辺の施設(学校、病院、商業施設など)、騒音、日照状況などを確認します。
⚫︎過去の履歴
過去に事故物件であったかどうか、土壌汚染の有無などを確認します。
重要事項説明書の内容について不明な点があれば、必ず不動産会社に質問し、納得できるまで説明を求めましょう。曖昧な点や納得できない点があれば、契約を見送ることも検討する必要があります。
注意点2:周辺環境を徹底調査!騒音、治安、日当たりを確認
土地の価格や広さだけでなく、周辺環境も重要なチェックポイントです。実際に住んでみないと分からないことも多いため、以下のような項目を契約前に時間をかけて徹底的に調査しましょう。
✔️騒音
交通量、近隣の工場や商業施設、鉄道の音などを確認します。
確認方法:時間帯を変えて複数回訪問する、近隣住民に話を聞く
✔️治安
過去の犯罪発生状況、街灯の数、人通りなどを確認します。
確認方法:警察署のホームページで犯罪発生マップを確認する、夜間に周辺を歩いてみる
✔️日当たり
周辺の建物の高さ、方角などを考慮して、日当たりの良さを確認します。
確認方法:時間帯を変えて複数回訪問する、影のシミュレーションを行う
✔️利便性
最寄りの駅やバス停までの距離、スーパーやコンビニエンスストアの有無などを確認します。
確認方法:実際に歩いてみる、地図アプリで検索する
✔️ハザードマップ
水害、土砂災害、地震などの災害リスクを確認します。
確認方法:自治体のホームページでハザードマップを確認する
周辺環境は、住み心地に大きく影響するため、妥協せずにしっかりと確認することが大切です。
注意点3:地盤調査は必須!軟弱地盤、地盤改良の費用を把握
地盤は、建物の安全性を左右する最も重要な要素の一つです。軟弱な地盤の上に建物を建てると、不同沈下(建物が不均等に沈む現象)が発生し、建物に大きな損傷を与える可能性があります。そのため、土地を購入する前に必ず地盤調査を行い、地盤の強度を確認する必要があります。 地盤調査の結果、軟弱地盤であることが判明した場合、地盤改良工事が必要になります。地盤改良工事には、以下のような種類があり、地盤の状態によって最適な工法が異なります。
・表層改良:浅い部分の地盤を改良する工法
・柱状改良:深い部分まで柱状の改良体を造成する工法
・鋼管杭工法:鋼管杭を地中に打ち込む工法
地盤改良工事の費用は、地盤の状態や工法によって大きく異なりますが、一般的には数十万円から数百万円程度かかる場合があります。地盤改良工事の費用は、土地の購入費用に加えて発生するため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。不動産会社に地盤調査の結果を提示してもらい、地盤改良の必要性と費用の概算について確認しましょう。
交渉術1:複数の不動産屋を比較!相見積もりで価格競争を促す
土地探しを始める際には、複数の不動産屋に相談し、情報収集を行うことが重要です。同じエリアの土地でも、不動産屋によって持っている情報や価格が異なる場合があります。複数の不動産屋から相見積もりを取り、価格競争を促すことで、より有利な条件で土地を購入できる可能性があります。 相見積もりを取る際には、以下の点に注意しましょう。
⚫︎希望条件を明確に伝える
土地の広さ、予算、エリア、周辺環境など、希望条件を明確に伝えることで、より適切な情報を提供してもらえます。
⚫︎同じ条件で比較する
土地の価格だけでなく、仲介手数料や諸費用なども含めて、同じ条件で比較することが重要です。
⚫︎積極的に質問する
気になる点や不明な点があれば、遠慮せずに積極的に質問しましょう。
複数の不動産屋を比較検討することで、より多くの情報を得ることができ、自分に合った最適な土地を見つけることができます。
交渉術2:デメリット情報を逆手に取る!価格交渉の材料にする
全ての土地が完璧な条件を備えているわけではありません。日当たりが悪い、騒音が気になる、地盤が弱いなど、何らかのデメリットを抱えている土地も存在します。しかし、これらのデメリットは、価格交渉の材料として活用することができます。 例えば、以下のようなケースが考えられます。
⚫︎日当たりが悪い
周辺の建物によって日当たりが悪い場合、日照時間の短さを理由に価格交渉を行う。
⚫︎騒音が気になる
交通量の多い道路に面している場合、騒音の大きさを理由に価格交渉を行う。
⚫︎地盤が弱い
地盤調査の結果、地盤改良工事が必要な場合、その費用を考慮して価格交渉を行う。
デメリット情報を逆手に取ることで、不動産屋も価格交渉に応じやすくなります。ただし、あまりにも過剰な要求は、交渉決裂につながる可能性があるため、注意が必要です。
交渉術3:タイミングを見計らう!不動産屋の事情を考慮する
不動産屋にも、売上目標やノルマといった事情があります。月末や決算期など、不動産屋が売上を上げたい時期を狙って交渉することで、有利な条件を引き出せる可能性があります。 また、売れ残っている土地や、長期間売れていない土地は、不動産屋も早く手放したいと考えているため、価格交渉に応じやすい傾向があります。 不動産屋の事情を考慮しながら、タイミングを見計らって交渉することで、より有利な条件で土地を購入できる可能性が高まります。